

2026年10月、高圧の系統用蓄電所にノンリコース型のプロジェクトファイナンスやファンドが付く発表が相次ぎました。これまで事業者の自己資金や企業向け融資で建てられていた2MW級の蓄電所が、金融商品として扱われ始めています。何が変わったのか、売れる蓄電所の条件は何かを整理します。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 10月1日 | RSアセットアドバイザーズと日本蓄電池が共同で組成した系統用蓄電池事業ファンドが運営開始(10月19日発表)。SPCを使ったノンリコース型のプロジェクトファイナンスで資金調達し、2026年度中の商業運転を見込む |
| 10月8日 | 日本蓄電池が全国7件の高圧系統用蓄電施設を対象にプロジェクトファイナンス契約を締結。アセットマネジメントはecoプロパティーズ、融資はSMTBリースとのノンリコース型 |
| 10月20日 | イーレックスの2号案件(千葉県山武郡芝山町、8,147kWh)が商業運転を開始。2028年に取扱電源100MWが目標 |
5月には大分県日出町の案件で、あおぞら銀行とのプロジェクトファイナンスも組成されています。いずれも特別高圧の大型案件ではなく、高圧クラスの蓄電所をまとめて金融の対象にしている点が共通です。出典は各社のプレスリリースです。
プロジェクトファイナンス(PF)は、事業者の信用ではなく蓄電所そのものの収益を返済原資にする融資です。ノンリコース型では、事業が失敗しても事業者本体に返済義務が及びません。
PFが付くということは、金融機関が蓄電所の収益を20年単位で審査し、融資に値すると判断したことを意味します。これまで高圧2MW級は個別の事業者が自己資金で建てるものでしたが、複数案件を束ねてSPCに入れ、ファンドや銀行が資金を出す形に変わってきました。
投資家側から見ると、完成した蓄電所を買う相手に金融機関やファンドが加わったということです。買い手が増えれば、完成蓄電所の売買は成立しやすくなります。
売る側は、上記4点を書面で揃えておくことが最短の準備です。特に収支表は、作成日と単価の前提を明記し、2026年10月以降の実績で引き直したものを用意してください。
買う側は、PFやファンドが付いた案件と、個人や事業会社が自己資金で建てた案件とで、情報の揃い方が違うことを前提に見てください。情報が揃っていない案件は、揃えるための時間と費用を価格に織り込む必要があります。
GRIDBANKでは、蓄電所の売買にあたって電力進捗、調査結果、価格を開示した形で掲載しています。資料請求で収支の前提も確認できます。
単独では金額が小さく、金融機関の審査コストに見合わないことが多いです。今回の事例も7件をまとめて1つの融資にしています。複数案件を束ねるか、ファンドに売却する形が現実的です。
価格は収益の前提次第です。金融機関は保守的な単価で審査するため、売主の収支表より低い評価になることが一般的です。
売れます。ただし収支表、アグリゲーター契約、機器保証、権利関係の4点が揃っているかで買い手の幅が変わります。