物件の見方

高圧2MW級の蓄電所にプロジェクトファイナンスとファンドが付き始めた

更新日:2026年10月24日GRIDBANK編集部
グリッドバンクくん
銀行やファンドが買う側に回ってきた。向こうが見ているポイントを先に押さえれば、売れる蓄電所が作れるよ。案内役:グリッドバンクくん(GRIDBANK公式キャラクター)

2026年10月、高圧の系統用蓄電所にノンリコース型のプロジェクトファイナンスやファンドが付く発表が相次ぎました。これまで事業者の自己資金や企業向け融資で建てられていた2MW級の蓄電所が、金融商品として扱われ始めています。何が変わったのか、売れる蓄電所の条件は何かを整理します。

2026年10月に相次いだ資金調達と稼働の発表

時期内容
10月1日RSアセットアドバイザーズと日本蓄電池が共同で組成した系統用蓄電池事業ファンドが運営開始(10月19日発表)。SPCを使ったノンリコース型のプロジェクトファイナンスで資金調達し、2026年度中の商業運転を見込む
10月8日日本蓄電池が全国7件の高圧系統用蓄電施設を対象にプロジェクトファイナンス契約を締結。アセットマネジメントはecoプロパティーズ、融資はSMTBリースとのノンリコース型
10月20日イーレックスの2号案件(千葉県山武郡芝山町、8,147kWh)が商業運転を開始。2028年に取扱電源100MWが目標

5月には大分県日出町の案件で、あおぞら銀行とのプロジェクトファイナンスも組成されています。いずれも特別高圧の大型案件ではなく、高圧クラスの蓄電所をまとめて金融の対象にしている点が共通です。出典は各社のプレスリリースです。

プロジェクトファイナンスが付くと何が変わるか

プロジェクトファイナンス(PF)は、事業者の信用ではなく蓄電所そのものの収益を返済原資にする融資です。ノンリコース型では、事業が失敗しても事業者本体に返済義務が及びません。

PFが付くということは、金融機関が蓄電所の収益を20年単位で審査し、融資に値すると判断したことを意味します。これまで高圧2MW級は個別の事業者が自己資金で建てるものでしたが、複数案件を束ねてSPCに入れ、ファンドや銀行が資金を出す形に変わってきました。

投資家側から見ると、完成した蓄電所を買う相手に金融機関やファンドが加わったということです。買い手が増えれば、完成蓄電所の売買は成立しやすくなります。

金融機関とファンドが見る売れる蓄電所の条件

  1. 収益の前提が最新の市場で組まれている。需給調整市場の単価は2026年9月の上限10円化で下がっています。古い単価の収支表は審査で差し戻されます。水準は需給調整市場の単価が10月に半減、2MW蓄電所の売上見込みはどう変わったかで整理しています。
  2. アグリゲーター契約と運用実績。どのアグリゲーターと何年契約か、落札率と稼働率の実績があるかが問われます。
  3. 機器の保証と保守体制。電池の容量保証、PCSの保守契約、保険の内容が20年の返済期間に見合うかを見ます。JC-STAR取得済みの機器は、補助金と金融の両面で扱いやすくなっています。
  4. 権利関係が整理されている。土地の所有または賃借の契約期間、接続契約、系統の電力進捗が書面で揃っていることが前提です。

売る側・買う側がいま準備しておくこと

売る側は、上記4点を書面で揃えておくことが最短の準備です。特に収支表は、作成日と単価の前提を明記し、2026年10月以降の実績で引き直したものを用意してください。

買う側は、PFやファンドが付いた案件と、個人や事業会社が自己資金で建てた案件とで、情報の揃い方が違うことを前提に見てください。情報が揃っていない案件は、揃えるための時間と費用を価格に織り込む必要があります。

GRIDBANKでは、蓄電所の売買にあたって電力進捗、調査結果、価格を開示した形で掲載しています。資料請求で収支の前提も確認できます。

よくあるご質問

単独では金額が小さく、金融機関の審査コストに見合わないことが多いです。今回の事例も7件をまとめて1つの融資にしています。複数案件を束ねるか、ファンドに売却する形が現実的です。

価格は収益の前提次第です。金融機関は保守的な単価で審査するため、売主の収支表より低い評価になることが一般的です。

売れます。ただし収支表、アグリゲーター契約、機器保証、権利関係の4点が揃っているかで買い手の幅が変わります。

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