

2026年9月1日に一次調整力などの上限価格が15円から10円に下がり、10月の約定単価は東京・東北とも5円台まで下がりました。GRID BANK MARKETで毎日集計している実績データをもとに、2MW/8MWhの蓄電所の売上見込みがどう変わったかを整理します。
需給調整市場で蓄電池の主な収入源になっている一次調整力は、2026年3月13日までは上限価格が19.51円(ΔkW・30分あたり)でした。2026年3月14日の前日取引化と同時に15円へ、2026年9月1日受渡分から10円へ引き下げられています。
引き下げの理由は、少数の高値約定が調達費を押し上げていたことです。資源エネルギー庁の整理では、14円を超える約定は数量の約3%にすぎない一方、調達費の約17%を占めていました。競争が十分に進まなければ、7.21円まで段階的に下げる方針も示されています。
上限が10円になった9月以降、約定単価は上限の手前で止まらず、10月は5円台まで下がりました。東京では一次調整力オフライン枠(約90MW)に対して応札が124MWまで増え、落札率も半分以下に落ちています。
| エリア | 月 | オフライン約定単価 | 落札率 | 枠と応札量 |
|---|---|---|---|---|
| 東京 | 8月 | 11.48円 | 77% | 枠92MW/応札94MW |
| 東京 | 9月 | 8.58円 | 78% | 枠91MW/応札106MW |
| 東京 | 10月(1〜16日) | 5.19円 | 48% | 枠91MW/応札124MW |
| 東北 | 8月 | 13.63円 | ほぼ全量 | 枠51MW/応札29MW |
| 東北 | 9月 | 9.29円 | ほぼ全量 | 枠52MW/応札32MW |
| 東北 | 10月(1〜16日) | 5.31円 | ほぼ全量 | 枠46MW/応札37MW |
出典は電力需給調整力取引所(EPRX)が公表する取引実績(速報値)で、GRID BANK MARKETで集計しています。単価は月の加重平均、落札率はオフライン枠の落札量を応札量で割ったものです。
高圧2MW/8MWhの蓄電所が一次調整力オフライン枠に24時間応札し、市場全体の落札率で約定した場合の需給調整市場の売上を、前提にする時期ごとに1年分へ換算すると次のようになります。
| 前提にする時期 | 東京 | 東北 |
|---|---|---|
| 2025年度の実績(上限19.51円の時期) | 約4.7億円 | 約2.6億円 |
| 2026年4月〜10月16日の実績を1年換算 | 約3.2億円 | 約3.9億円 |
| 2026年10月1〜16日の実績を1年換算 | 約1.0億円 | 約1.1億円 |
どの時期を前提に置くかで、同じ蓄電所でも売上見込みが3〜4倍違います。10月の水準が続いた場合、2MW蓄電所の需給調整市場からの売上は年1億円前後が目安になります。
東北は2025年10月までオフライン枠の約定がなかったため、2025年度は実質6か月分の数字です。また、この試算には容量市場やJEPX(卸電力市場)の収入、アグリゲーター手数料、設備の稼働率は含めていません。実際の収支は、これらを加減した数字で確認してください。
蓄電所の売買で提示される20年の収支シミュレーションは、作成した時点の単価で組まれています。今の市場に合っているかを、次の3点で確認してください。
GRID BANK MARKETでは、エリア別の約定単価と落札率、規模別の売上の目安を毎日更新しています。提示された表の前提と並べて確認すると、どこが古いかがすぐに分かります。
資源エネルギー庁は、競争が十分に進まない場合は7.21円まで段階的に引き下げる方針を示しています。時期は未定です。収支を見るときは10円を上限として置き、7円台になった場合も試算しておくと安全です。
売上は単価×落札量なので、落札率が高くても単価が半分になれば売上も半分近くになります。さらに東京のように応札が枠を超えているエリアでは、落札率も同時に下がっています。
EPRX(電力需給調整力取引所)が公表する取引実績が一次情報です。GRID BANK MARKETではこの実績をエリア別・月別に集計し、2MWや10MWなど規模別の売上の目安とあわせて毎日更新しています。