収益の仕組み

需給調整市場の単価が10月に半減、2MW蓄電所の売上見込みはどう変わったか

更新日:2026年10月24日GRIDBANK編集部
グリッドバンクくん
去年の単価で作った収支表は、もう今の市場に合わないよ。10月の実績で一度見直そう。案内役:グリッドバンクくん(GRIDBANK公式キャラクター)

2026年9月1日に一次調整力などの上限価格が15円から10円に下がり、10月の約定単価は東京・東北とも5円台まで下がりました。GRID BANK MARKETで毎日集計している実績データをもとに、2MW/8MWhの蓄電所の売上見込みがどう変わったかを整理します。

上限価格は半年で19.51円から10円に下がった

需給調整市場で蓄電池の主な収入源になっている一次調整力は、2026年3月13日までは上限価格が19.51円(ΔkW・30分あたり)でした。2026年3月14日の前日取引化と同時に15円へ、2026年9月1日受渡分から10円へ引き下げられています。

引き下げの理由は、少数の高値約定が調達費を押し上げていたことです。資源エネルギー庁の整理では、14円を超える約定は数量の約3%にすぎない一方、調達費の約17%を占めていました。競争が十分に進まなければ、7.21円まで段階的に下げる方針も示されています。

  • 2026年3月13日まで 19.51円
  • 2026年3月14日から8月31日まで 15円
  • 2026年9月1日以降 10円

10月の約定単価と落札率(東京・東北)

上限が10円になった9月以降、約定単価は上限の手前で止まらず、10月は5円台まで下がりました。東京では一次調整力オフライン枠(約90MW)に対して応札が124MWまで増え、落札率も半分以下に落ちています。

エリア月オフライン約定単価落札率枠と応札量
東京8月11.48円77%枠92MW/応札94MW
東京9月8.58円78%枠91MW/応札106MW
東京10月(1〜16日)5.19円48%枠91MW/応札124MW
東北8月13.63円ほぼ全量枠51MW/応札29MW
東北9月9.29円ほぼ全量枠52MW/応札32MW
東北10月(1〜16日)5.31円ほぼ全量枠46MW/応札37MW

出典は電力需給調整力取引所(EPRX)が公表する取引実績(速報値)で、GRID BANK MARKETで集計しています。単価は月の加重平均、落札率はオフライン枠の落札量を応札量で割ったものです。

2MW/8MWh蓄電所の売上見込みはいくら変わるか

高圧2MW/8MWhの蓄電所が一次調整力オフライン枠に24時間応札し、市場全体の落札率で約定した場合の需給調整市場の売上を、前提にする時期ごとに1年分へ換算すると次のようになります。

前提にする時期東京東北
2025年度の実績(上限19.51円の時期)約4.7億円約2.6億円
2026年4月〜10月16日の実績を1年換算約3.2億円約3.9億円
2026年10月1〜16日の実績を1年換算約1.0億円約1.1億円

どの時期を前提に置くかで、同じ蓄電所でも売上見込みが3〜4倍違います。10月の水準が続いた場合、2MW蓄電所の需給調整市場からの売上は年1億円前後が目安になります。

東北は2025年10月までオフライン枠の約定がなかったため、2025年度は実質6か月分の数字です。また、この試算には容量市場やJEPX(卸電力市場)の収入、アグリゲーター手数料、設備の稼働率は含めていません。実際の収支は、これらを加減した数字で確認してください。

収支シミュレーションを受け取ったときの確認点

蓄電所の売買で提示される20年の収支シミュレーションは、作成した時点の単価で組まれています。今の市場に合っているかを、次の3点で確認してください。

  1. 1〜2年目の一次調整力は何円×落札何%か。上限10円のもとでは、2MWで年3.5億円(10円×落札100%×24時間)が理論上の最大です。これに近い数字は、上限が19.51円だった時期の単価で作られている可能性があります。
  2. エリアの枠と応札量。オフライン枠はエリアごとに固定です。東京のように応札が枠を超えているエリアでは、新しい蓄電所が増えるほど落札率が下がります。
  3. 長期の年次と比べる。手元で確認した例では、同じ表の10年目以降は10月の実績に近い水準で、初期の数年だけが高くなっていました。初期だけ高い表は、収益を前倒しで乗せている形です。

GRID BANK MARKETでは、エリア別の約定単価と落札率、規模別の売上の目安を毎日更新しています。提示された表の前提と並べて確認すると、どこが古いかがすぐに分かります。

よくあるご質問

資源エネルギー庁は、競争が十分に進まない場合は7.21円まで段階的に引き下げる方針を示しています。時期は未定です。収支を見るときは10円を上限として置き、7円台になった場合も試算しておくと安全です。

売上は単価×落札量なので、落札率が高くても単価が半分になれば売上も半分近くになります。さらに東京のように応札が枠を超えているエリアでは、落札率も同時に下がっています。

EPRX(電力需給調整力取引所)が公表する取引実績が一次情報です。GRID BANK MARKETではこの実績をエリア別・月別に集計し、2MWや10MWなど規模別の売上の目安とあわせて毎日更新しています。

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