

長期脱炭素電源オークションは、落札すると20年間の固定収入が得られる唯一の制度です。第3回(2025年度応札)は蓄電池の落札率が46%で、落札できた案件とできなかった案件で事業価値に大きな差がつきました。第4回は2027年1月の入札が予定されています。仕組みと、落札しやすい案件の条件を整理します。
長期脱炭素電源オークションは、容量市場の一部として電力広域的運営推進機関(OCCTO)が実施する入札です。脱炭素電源の新設やリプレースを対象に、落札した電源には原則20年間、固定の容量収入が支払われます。
蓄電池と揚水は脱炭素電源の区分で応札でき、系統用蓄電池もこの制度で20年の固定収入を確保できます。通常の容量市場が4年後の1年分しか決まらないのに対し、20年先まで収入が固定される点が最大の違いです。
一方で、需給調整市場やJEPX(卸電力市場)など他の市場で得た収益は、その9割を還付する仕組みです。固定収入を受け取る代わりに市場収益の上振れをほぼ放棄する形で、収益の安定性を取る制度といえます。
2026年1月に入札、5月13日に結果が公表された第3回では、全体で応札1,085.6万kWに対し落札729.9万kW(67%)でした。蓄電池は応札125.1万kWに対して落札率46%、揚水は応札45.3万kWに対して55%です。
| 区分 | 応札 | 落札率 |
|---|---|---|
| 全体 | 1,085.6万kW | 67% |
| 蓄電池 | 125.1万kW | 46% |
| 揚水 | 45.3万kW | 55% |
蓄電池の応札は制度開始以来増え続けており、半分以上が落札できない状態です。落札できた蓄電池案件は20年の固定収入が付くため、落札前の案件と比べて売買価格が大きく変わります。出典はOCCTO「長期脱炭素電源オークション約定結果(応札年度:2025年度)」です。
第4回は2027年1月に入札が予定されています。資源エネルギー庁の審議会では、脱炭素電源の募集量を第3回と同じ500万kWとする案が示されました。
蓄電池については、系統接続の申込みが急増していることを受け、落札ペースを調整する案が出ています。具体的にはリチウムイオン蓄電池、それ以外の蓄電池、揚水の新設・リプレースとLDES(長期間エネルギー貯蔵)の3区分に分け、それぞれ募集上限を40万kWとする内容です。
この案が確定すると、リチウムイオン蓄電池の落札枠は前回の落札量(約55万kW)より小さくなり、競争はさらに厳しくなります。正式な募集要綱と応札日程はOCCTOの公表を確認してください。
蓄電所を売買する際は、落札済みかどうかを必ず確認し、応札予定の案件は落札できた場合とできなかった場合の両方で収支を見てください。落札できなかった場合の収支は、需給調整市場の単価が10月に半減、2MW蓄電所の売上見込みはどう変わったかで整理した水準が目安になります。
受け取れますが、他市場での収益の9割は還付する仕組みです。残りの1割と20年の容量収入が蓄電所の収入になります。
応札には系統接続の見通しや事業計画の書類が必要で、募集要綱の公表から応札受付までは数か月です。接続検討の回答が出ていない案件は現実的に難しく、電力進捗が進んだ案件が対象になります。
通常の容量市場と需給調整市場・JEPXで運用する蓄電所として価値はあります。ただし20年固定収入の前提で価格が付いている場合は見直しが必要です。